Synology NASは、ファイルを保存するだけの機器ではありません。写真の自動バックアップ、PC間のファイル同期、外出先からのアクセス、複数世代のバックアップ、Dockerコンテナを使ったWebサービスの運用まで、1台で幅広く対応できます。
このサイト「自動化SEの雑記」も、実際にSynology DS220+上のContainer Managerを利用して運用しています。本記事ではカタログ上の機能を並べるだけでなく、家庭用NASを実際に使う立場から、2026年時点で特に役立つ活用方法と注意点を整理します。
旧版ではPhoto StationやDS Photoを中心に紹介していました。DSM 7ではこれらがSynology Photosへ統合されているため、内容を全面的に更新しました。
代表的な使い方は次のとおりです。
NAS本体だけにデータを置いても、それだけでは完全なバックアップにはなりません。重要なデータは、後述するHyper Backupなどを使って別の保存先にもコピーすることが重要です。
DSM 7では、従来のPhoto StationとMomentsがSynology Photosに統合されています。古い解説記事にある「DS Photoをインストールする」という手順は、現在の環境にはそのまま当てはまりません。
Synology Photosでは、主に次のことができます。
Synology公式によると、Synology PhotosはDSM 7.0以降で利用でき、Photo StationとMomentsの後継に位置付けられています。
基本的な設定手順は次のとおりです。
Androidでは、省電力機能によってバックグラウンド転送が止まることがあります。バックアップされない場合は、Synology Photosに対するバッテリー最適化やバックグラウンド通信の制限を確認してください。
大量の写真を初回転送するときは、アプリの集中バックアップ機能を使い、端末を充電しながら実行すると安定します。
Personal Spaceはユーザー個人の写真領域です。各ユーザーのホームフォルダー配下に保存され、ほかのユーザーから分離できます。
Shared Spaceは家族やチームで共有する写真領域です。フォルダー単位で閲覧・編集権限を設定できます。
家族全員の写真を一つのアカウントへ集めるよりも、各人にDSMユーザーを作成し、個人写真はPersonal Space、共有したい写真だけShared Spaceへ置く運用がおすすめです。
Synology Driveを利用すると、WindowsやmacOSの指定フォルダーとNASを同期できます。
Google DriveやOneDriveに近い感覚で利用できますが、保存容量はNASに搭載したディスク容量が基準です。仕事用PCと自宅PCでファイルを同期したり、誤って上書きしたファイルを過去バージョンから戻したりできます。
ただし、同期はバックアップと同じではありません。PC側で削除したファイルがNAS側でも削除される設定の場合があるため、重要データにはHyper Backupなどを併用してください。
NASにRAIDを設定していても、誤削除、ランサムウェア、故障、盗難、災害には十分対応できません。RAIDは主にディスク故障時の継続運用を助ける仕組みであり、バックアップの代わりではありません。
Hyper Backupでは、次のような保存先へバックアップできます。
複数世代を保持できるため、「昨日の状態へ戻す」「削除前のファイルだけ取り出す」といった復元も可能です。
家庭で始めやすい構成は、NAS内の重要データを定期的にUSB HDDへバックアップし、さらに特に重要なデータだけクラウドまたは別拠点へ保存する方法です。
バックアップタスクが「成功」と表示されていても、復元方法を確認していなければ、緊急時に操作できない可能性があります。小さなテストファイルで復元まで試しておくと安心です。
対応機種では、Container Managerを使ってDockerコンテナを実行できます。DSMの旧バージョンで「Docker」と呼ばれていたパッケージは、現在はContainer Managerとして提供されています。
Container Managerでは、単体コンテナだけでなく、Composeファイルを利用する「プロジェクト」も管理できます。
活用例は次のとおりです。
このサイトでは、Astro、Nginx、Gravなどをコンテナとして動かしています。設定をComposeファイルで管理しておくと、コンテナを作り直す場合も構成を再現しやすくなります。
DS220+のような2ベイ・省電力モデルでも軽量なコンテナは動かせますが、CPUとメモリには限りがあります。
特にComposeのdown -vは、構成によっては名前付きボリュームを削除します。データを保持したい通常運用では、意味を理解せずに-vを付けないようにしてください。
Synology NASにはQuickConnectがあり、ルーターの複雑なポート開放を行わずに対応アプリへ接続できます。
一方、Webサービスを独自ドメインで公開する場合は、リバースプロキシ、VPN、Cloudflare Tunnelなども選択肢になります。
| 用途 | 選択肢 |
|---|---|
| Synology純正アプリへ手軽に接続 | QuickConnect |
| 管理画面へ安全に接続 | VPN |
| 独自ドメインでWebサービスを公開 | リバースプロキシ/Cloudflare Tunnel |
| 自宅PCとNASだけを接続 | VPNまたは閉域型の接続サービス |
DSM管理画面のポートを、そのままインターネットへ開放する構成は避けた方が安全です。
外部公開しているサービスがある場合は、DSMだけでなく、Container Managerで動かしているアプリやコンテナイメージも更新対象です。
最初からすべてを動かすより、「保存」「バックアップ」「外部アクセス」「追加サービス」の順に広げる方が、トラブル発生時に原因を切り分けやすくなります。
Synology NASは、DSM 7と各種パッケージを組み合わせることで、写真管理、ファイル同期、世代バックアップ、Webサービス運用まで対応できます。
旧環境で使われていたPhoto StationやDS Photoは、現在はSynology Photosへ置き換わっています。これから設定する場合は、古いアプリ名の手順をそのまま使わず、現在のDSMとパッケージに合わせて確認してください。
特に重要なのは、NASへ保存しただけで安心せず、Hyper Backupなどで別媒体・別拠点にもバックアップを作ることです。そのうえでContainer Managerなどを活用すれば、家庭用NASを自分専用のサーバーとしてさらに活用できます。